日本再発見ノート Rediscover Japan. 

株式会社さとゆめ・嶋田俊平の日々の思い、出会い、発見

法政大学・政策デザイン事例研究講座にて講義「持続可能な地域のデザイン (私論)」

f:id:ssshumpei:20131219151752j:plain

昨夜は、法政大学大学院政策創造研究科の「政策デザイン事例研究」という講座で、ゲスト講義させてもらいました。(ちなみに、上の写真は、講義後に市ヶ谷駅前の橋から撮ったお濠。)

講義のきっかけは、前の会社で上司だった法政大学特任教授の白井さんのご紹介があり、この講座を担当されている樋口一清先生からお声掛け頂いたのです。

最初に、「政策デザイン事例研究」という講座名を聞いたときには、前の会社でやってた政策立案系プロジェクトの事例でも紹介したらいいのかな?と思い、樋口先生に確認したところ、「いやいや、今やってること、思っていることを自由に話してもらったらいいですよ。3時間自由に使ってください。」とのこと・・・

どうやら僕が「事例」だったようです。というわけで、思う存分、自分のことを話させてもらいました。

基本的な内容としては、以前立教大学や林野庁、あとは、法政大学の別の講座でお話した内容がベースです。

僕がサステナブル・コミュニティ(持続可能な地域)を考えるときに、大切にしている4つのキーワード「マーケティング」「物語」「指標、そして希望」「伴走」ごとに、自分がこれまでやってきたこと、さとゆめでやっていること、自分の仕事論等々を話させてもらいました。

しかし、いやはや、同じようなことをお話しても、聞いてくださる人が変わると、フィードバックは全く変わってくるものですね。

冒頭1時間半講義させてもらった後、1時間ちょっと総合ディスカッションをさせてもらったのですが、時間をオーバーするほど、途切れなく沢山の質問、意見を頂きました。結構、ドキッとする意見も。

  • 物語マーケティングのワークショップの参加者はどのように人選して集めるのか?

ワークショップの人集めは、ここはやはり地域の方に主導してもらうしかありません。ただ単に団体の長を集めればよいというものではなく、現場でバリバリ動いている中堅世代くらいの方を集めるのが良いですよね。フォーマルな肩書きだけではなく、インフォーマルな実力・信頼をどう把握するのがカギ、というような議論をしました。

  • 地域のビジョンや事業プランをトップダウンでつくってきたことが各地で色んな問題を起こしているのではないか?ボトムアップが必要ではないか?

これは永遠の課題ですね。小布施町のように、地元出身で、かつ事業センスもある首長さんが強いリーダーシップで地域を引っ張っているところもありますし、トップダウンが功を奏しているところもある。ただ、自分はそういった抜群のセンスがあるわけでもないので、まずは地域の方々の意見・考えを徹底的に聞くところからスタートして、ボトムアップの動きをつくるようにしている、等々と話しました。

  • マーケティングは西洋のMBA的なメソッドだが、東洋的なやり方もあるのではないか?

確かに、SWOT分析、ポジショニング、ターゲティングと言ったMBAのやり方をそのまま地域に導入しようとしてもなかなか馴染まない。それで始めたのが、物語マーケティングです。(東洋的かどうかは別として)
その他、持続可能な地域づくりの現場で使われている手法としては、90歳ヒアリングや地元学などがあるので、ぜひそう言った日本発の手法も模索していきたいですね、と言うような意見交換をしました。

 参考:持続可能なライフスタイルデザイン手法 [90歳ヒアリングを生かした街づくり:90歳ヒアリングについて] | 受賞対象一覧 | Good Design Award

  • モダニズムとポスト・モダニズムという概念がある。それぞれ、脱魔術化、再魔術化とも言われている。マーケティングは脱魔術化的な手法、物語マーケティングは再魔術化の手法という捉え方もできるか?

これは面白い視点でした。まさか、政策論の授業で魔術という言葉を聞くとは(笑)
でも、確かに、MBA的なマーケティングは、「消費者」や「マーケット」を属性や嗜好性等の機能ごとのパーツに分解して、対策を練る手法なので、脱魔術的(科学的?)と言える。
一方で、物語マーケティングは、消費者を属性等で分解せず、全人格的に捉えて、その人格にどう訴求していくのか、深い関係を築いていくのかを考える手法で、再魔術化(科学から、感性へ)と言える。というような意見。なるほど、なるほど。

  • 嶋田さんの役割は、物語で言うところの作者なのか、編集者なのか?

自分が作者か、編集者かとか考えたことがありませんでした。ただ、物語マーケティングのグループワークには自分は参加しないで、あくまでもファシリテータとして立ち振る舞っているので、編集者なんだと思います。ワークショップでアイデアを出し合ってくれる地域の方が、まさに「作者」。
本の編集者は、売れる本をどう作るかという使命と、眠っている才能をどう引き出すのかという使命の両方を持っているわけですが、僕が担うべき役割もまさにそんな感じなのかなと、自分の仕事のあり方を考える上でも良い示唆をもらいました。

などなど。3時間があっという間に過ぎてしまいました。

今の自分のように小さい会社を経営していると、なかなか社内では自分の仕事に対するフィードバックはもらえないものです。

なので、こういった大学でのプレゼンテーションなどの場で、積極的に外部に発信して、自分からフィードバックをもらいに行かねばと思った次第。

いい時間でした。感謝。