日本再発見ノート Rediscover Japan. 

株式会社さとゆめ・嶋田俊平の日々の思い、出会い、発見

道徳と経済の門


一昨日、仕事の関係で、静岡県は掛川市に行ってきました。
掛川市に住む尊敬する方に、とある林業関係業務の件でアドバイス、ご意見を伺うのが用件でした。

空き時間があったので、「大日本報徳社」を見学してきました。

大日本報徳社 - Wikipedia

江戸時代後期の農政家である二宮尊徳、通称・二宮金次郎の弟子達が集い、金次郎が唱えた報徳思想の普及の拠点となった場所です。二宮金次郎の指導を受けた岡田佐平治が掛川市の人だったことから、ここに建立されたようです。

一昔前は、全国の小学校に薪を担いで本を読んでいる像「二宮金次郎像」がありましたが、それを全国に広めた立て役者のひとつがこの組織と言ってもよいでしょう。

その報徳社の拠点は、掛川城の近くの静かな町並みの中にとけ込むような佇まいなのですが、それに不似合いなくらいどっしりとした門には驚きました。

向かって左側の門には「経済門」、右側の門には「道徳門」と書かれています。

横にあった解説板を読むと、以下のように書いてありました。

正門(県指定文化財)
この門は、明治四十二年(1909年)に建てられ、道徳と経済が同じ高さで大事だと教えている道徳経済一円融合の門です。

経済力も、道徳心もまだまだ未熟な自分を思うと、この門をくぐるときに、何か背中をすごめてしまいたくなるような気がしました。

それにしても、二宮金次郎は、道徳の人、努力の人として認識されている部分が大きいですが、どちらかというとイメージ的には、今で言う、バリバリの社会起業家、切れ者のソーシャルベンチャーという感じだったのかもなあと思ったりもしました。

二宮金次郎像は、多くの小学校で撤去されていて、あまり目にしなくなりましたが、国の台所は借金頼みで「公」の部分を行政が担いきれなくなっている今こそ、二宮金次郎の「道徳」の思想だけではなく「経済」的な手腕にも光をあてて、再評価していく必要があるかもしれません。

二宮金次郎は、農村改善の指導者となって数百に及ぶ町や村を立て直したといいます。どのように人々とともに改善策を立案・実行したのか、どのような手法で資金を集めて、どのように投資したのか。興味は尽きません。

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報徳社には、他にも色々と貴重な建造物が残っています。(以下、解説文は、掛川市HPより引用)

静岡県掛川市 報徳社案内

  • 大講堂大広間

明治36年に建てられた大日本報徳社の中心的かつ象徴的な建造物。この大広間で、さまざまな報徳教化活動が行われてきました。わが国屈指の大規模近代和風建築として知られています。(静岡県指定文化財、国重要文化財)


  • 淡山翁(たんざんおう)記念報徳図書館 

大日本報徳社第二代社長であった岡田良一郎(淡山)の多大な遺徳を記念し、昭和2年に建てられた鉄筋コンクリート造りの図書館。建築学的に見ても、往時の図書館様式を今に伝える貴重な建造物です。(静岡県指定文化財)