高尾山
最近仕事でよく高尾山(東京都八王子市、標高599m)に通っているのですが、知れば知るほど深い山です。
東京近郊にあるため開発の波に常にさらされながら、昔から修験道の霊場として貴重な森林が守られてきたという経緯があり、標高600m弱ながら、シイ・カシ等の暖帯の植物とイヌブナ等の温帯の植物が混在し、多様な動植物が残っています。
ただ、平成19年に「ミシュラン」観光ガイドで最高ランク“三つ星”観光地(山では富士山と高尾山のみ)に輝いたことなどもあり、最近では年間260万人が訪れるほどに増えていて、登山道のオーバーユースなどなど、課題も少なくないようです。
そんな高尾山をどう守っていくべきか、どうつきあっていくべきか、しっかり考えていく必要があります。
さて、高尾山の自然は↑で書いたように、天然林が残っていることが特徴としてよく挙げられますが、「人工林」に関してもなかなか面白いです。
以下、いくつかご紹介。
カツラの人工林(広葉樹の一斉造林でこれだけ立派に育っているのは初めてみました)
スギ・ヒノキの複層林
江戸時代に韮山代官・江川太郎左衛門が植えた人工林(江川スギ、樹齢150年)
アカマツの純林(植栽したものかどうかは不明)
などなど。
ちなみに、こうした人工林がつくられてきた背景には、信徒の方々が杉苗を奉納されてこられていたという高尾山信仰の特色があるようです。杉苗奉納というのは初めて聞きました。
これだけ都市に近いところに、これだけ多様な人工林が残っていること、そしてその森林には人々の思いが詰まっていること、森林教育、林業教育のフィールドとしても可能性は大きいと感じました。