掛川市生涯学習都市宣言
先週、色々とお世話になっている元掛川市長・榛村純一さんとお話していたときに、生涯学習の話題になった。
榛村さんの市長時代の実績は、新幹線の掛川駅誘致、東名掛川インター誘致、掛川城天守閣を木造で復元、エコポリスによる企業誘致で工業出荷額激増等々、数えきれないほどあるのだけど、その真っ先に挙げられるのが、全国で初めて「生涯学習都市」を宣言し、全国に生涯学習ブームを巻き起こしたこと(らしい・・・)。
そういえば、その宣言文を読んだことがなかったな、とふと気付き、遅ればせながら著書を買って読んでみた。
感嘆・・・。熱い。自治体のなんたら宣言というのは掃いて捨てるほどあるが、こんなに熱く、真摯なものは見たことがない・・・。しかも、30年以上前の昭和54年に出ていたものとは。
今政府が幸福度指標やらを作ろうとしているそうだが、市民が幸せを実感するために行政がすべきこと、市民が負うべき義務、規範、そんなものがすべてここに凝縮しているような気さえする。
- 味わいのある人生、深みのあるくらし方、ユーモアとセンスのある商売を分かちあっていこう。
とか、
- ありきたりの田園都市ではなくて、思想性の高い田園都市となるために、
とか、言葉づかいもいい!
その都市宣言をまとめるために、昭和52年10月から54年2月頃まで、500回以上の市民対話集会を開いて、いろいろな要望・意見を聞いたあげく、KJ法のように整理して18項目のテーマとプロジェクトに集約・作成した。今から考えると、若気の至りで恥ずかしいような表現もあるが、志はあくまでも高かった。
生涯学習まちづくりは村格・都市格へ
策定プロセスも、KJ法を使って、今でいうワークショップを500回以上も行って市民参加で作ったそうなのです。
まちづくりや都市計画等々に関心のある方は是非一読ください。
掛川市生涯学習都市宣言
1
掛川市民は
少しでも多く幸せを実感するために
健康で生甲斐をもって生きていくために
一人でも多く素直になり、
悟りを開けるようになるために、
私達は、いろいろな職業や
趣味道楽やコミュニティー活動を通じて、
自分はなんだ、お互いは何をなすべきかと
いつも問いかけ合いながら、
一生涯学びつづけていこう
2
掛川市は、
ありきたりの田園都市ではなくて、
思想性の高い田園都市となるために、
農業を抱え込んだ
緑あふれる都市となるために、
一流のメニューをもつ
レクリエーション都市となるために、
私達は、いろいろなもうけ仕事や
文化活動や年中行事を通じて、
掛川市全域を公園のようにして、
掛川市全域を大学のようにして、
お互い、生き甲斐を
引き出し合って生きていこう。
3
掛川市民と掛川市は
よりよく生き、よりよく生かすために、
後代への責任を果たすために、
行財政を一人一人のものとして、
みんなで、風格ある人間、風格ある家庭
風格ある地域、風格ある掛川市を、
掛川学を展開しつつ築いていこう。
そして、味わいのある人生、
深みのあるくらし方、
ユーモアとセンスのある商売を
分かちあっていこう。
本当に人間を支えるものは教養である。
人間の内面の成長・成熟(幸せ・生き甲斐)は、
一歩一歩、一日一日の
学習・努力でしかえられない。
自動車のように一足とびには達成できない。
4
以上、このようなことが
お金と学歴と単なる便利さを克服し、
無上の幸せと悟りに達するために、
極めて大切なことだと思うので、
私達は、市制25周年記念に当り、
掛川市を生涯教育・生涯学習
「掛川学事始」都市とすることを宣言する。
昭和54年4月1日
掛川市
- 作者: 榛村純一
- 出版社/メーカー: 清文社
- 発売日: 2007/04
- メディア: 単行本
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