日本再発見ノート Rediscover Japan. 

株式会社さとゆめ・嶋田俊平の日々の思い、出会い、発見

おっぱいとマックシェイク

全く別の目的・機会に読んだ二つの本から一つのことを学ぶ、という経験した。

1冊目は、妻から読むように渡された母乳育児の本「おっぱいとだっこ」。

なかば義務的に読み始めたのだが、これが目からうろこのことが沢山あった。その中でも衝撃的だった一節。

赤ちゃんは最初に、母親の乳頭ではなく、糖水やミルクの入ったゴム乳首のほ乳瓶が与えれてしまうことが多いのです。最初にくわえたものの形が新生児の脳に刷り込まれてしまい、母乳育児をスタートから困難なものにしてしまいます。
母乳はゴム乳首にくらべて40倍ものあごの力を必要とするので、簡単に吸い出すことのできるゴム乳首による授乳を覚えてしまった赤ちゃんにとって、お母さんの乳首は困難でとても飲みにくいものになります。

初乳に赤ちゃんの免疫力を高める成分が入っているというのは聞いたことがあったけど、初乳の大切さはそれだけではなかったのですね。栄養があれば良いという思い上がりがこんな不幸を招いてしまうこともあるのかと、ちょっとショック。

***

さて、話は飛ぶが、「おっぱいとだっこ」を読んでから1週間後、まったく別の目的(今、仕事で非営利団体のマーケティング支援などをやっていて、その参考)で出張中に読んだ「Den Fujitaの商法」という本に、偶然にもまた母乳ネタが載っていてびっくりした。

日本の外食産業の祖、日本マクドナルドの創業者、藤田田氏のお話。

マクドナルドでは、この『マックシェイク』を太いストローで飲ませている。ところが、ストローだと非常に飲みにくい。お客さんの中には、飲みにくいからフタをあけてガバーッと飲みたいという人もいるほどである。力一杯吸っても、遅いスピードで、ゆっくりとしか口の中に入ってこない。
なぜ『マックシェイク』がストローで吸っても遅いスピードでしか口に入ってこないようにしているかというと、ちゃんと科学的な理由がある。
人間が口の中にものを吸い込むときに、もっともおいしいと感じるスピードは、母乳を吸うスピードなのである。
(中略)
マクドナルドでは、神様が考案したそのスピードを商売に拝借したのである。
(中略)
すべての人が味で勝負だ、と考えているときに、マクドナルドではスピードで勝負している。その発想が勝利を呼ぶのである。
母乳のスピードを出すために、マクドナルドのストローの直径のXミリメートルというのは企業秘密になっている。もっとも、おはかりになればわかってしまうが、シェイクを母乳のスピードで吸い込むために、あの大きさにつくられているのである。

哺乳瓶メーカーすら見落としていること(母乳を吸う力=「力一杯吸っても、遅いスピードで、ゆっくりとしか口の中に入ってこない」)を、商売に使っている人がいた・・・

藤田氏は、「赤ん坊時代の感触を蘇らせることで、金儲けに活用できるものが、まだまだあるはずだ」とおっしゃっている。

人間は奥深い。その人間を相手にする商売も奥深い。そんなことを改めて感じた書籍2編でした。どちらもおススメです。

おっぱいとだっこ (春秋暮らしのライブラリー)

おっぱいとだっこ (春秋暮らしのライブラリー)


Den Fujitaの商法〈2〉天下取りの商法 (ワニの新書)

Den Fujitaの商法〈2〉天下取りの商法 (ワニの新書)