休暇と観光
週末、友人の結婚パーティに呼ばれ、楽しい時間を過ごした。相手はホセさんというマドリッド出身のスペイン人。(最近、自分のまわりで国際結婚がすごく増えている。自分の妹もだが。もう全く珍しいことではなくなったなあ。)
ホセさんや彼の友人たちと色々と話した。ガウディのこと、サッカーのこと、マドリッドとバルセロナの関係のこと、などなど。
面白かったのは、シエスタのこと。噂には聞いていたが、本当にあるらしい。
昼寝の時間。マドリッドのような都会でも、人々は昼に一度家に帰って昼寝をしてから、職場に戻って仕事を再開するというのが珍しくないとのこと。
しかも、お役所は、午後3時には仕事が終わるらしい!もちろんバカンスもしっかりとる。夏に1ヶ月、冬に10日ほどが平均的な長さ。
この話を聞いていて改めて思ったのは、ヨーロッパ人と日本人の国民性の違い。ヨーロッパ人は人生の楽しみ方を知っているなあ、日本人は仕事が好きなんだなあ、こればっかりはどうしようもないなあ、と。
が、これは、国民性の違いで片づけて良い問題ではなかった。たまたま関連する記事を見て、反省。
フランスでは二九年に始まる世界大恐慌の産業不況・失業の対策官庁として観光庁が設置され、ワークシェアと新産業創出を目指して連続有給休暇制度が導入された。
「ゼミナール 観光立国への挑戦30」 9月1日付け 日本経済新聞
なんと、1930年代に不況・失業対策として長期休暇を制度化していたのだ。しかも、かなり徹底している。
欧州や米国の企業会計基準では、未取得分が企業側の負債として計上され、社員への金銭での弁済義務が生じる仕組みになっている。この制度の違いが、日本と欧米の有給休暇の取得率の違いに大きな影響を与えている。
「ゼミナール 観光立国への挑戦30」 9月1日付け 日本経済新聞
これらの制度ができるまでは、ヨーロッパの人も働き蜂のように休みもとらず、年がら年中働いていたのかもしれないと想像してみると不思議な感じ。
今、日本政府は、観光立国を旗印に、ビジット・ジャパンキャンペーンやらに大きな予算をつけて、外国から観光客を呼ぼうと頑張っているが(2010年に訪日外国人旅行者数を1,000万人が目標らしい)、まずは、企業の休暇制度(企業会計基準も含めて)を変えて、国民が休みを取りやすい環境づくりから始めるのが良いだろう。
社会経済生産性本部の「レジャー白書」によると、「余暇時間が減った」と感じている人の割合は1992年に22.6%であったのが、2002年には27.8%へと増えている。
「ゼミナール 観光立国への挑戦30」 9月1日付け 日本経済新聞
「(有給休暇)未取得分が企業側の負債として計上され、社員への金銭での弁済義務が生じる仕組み」が出来たら、簡単に観光ブームがおきるだろうし、かえって不況の改善にもつながるかもしれない。
そして、そのうち日本にもバカンス文化が根付くかもしれない。
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まあ、それはともかく、自分もちゃんと有給を使いきろうと思った次第。