「日本列島 いきものたちの物語」
先週末に観にいった映画「日本列島 いきものたちの物語」。
日本列島 いきものたちの物語
監督: 出田恵三 - 出演者: ゴリ, 長澤まさみ, 相葉雅紀, 黒木瞳
数々の自然科学番組を手がけてきたNHKエンタープライズが製作に参加し、日本列島で生きる様々な動物たちの姿と、彼らの“家族愛“、そして自然の豊かさを描きだすドキュメンタリー。屋久島のニホンザルや北海道のキタキツネ、五島列島のニホンジカなど愛らしい動物の姿に魅了される一作だ。嵐の相葉雅紀ら複数のナレーターが参加。
2歳半の娘を初めて連れて行った映画になります。(これまでは映画館で泣き喚かれると迷惑になるので、連れていきませんでした。)
つまり、娘にとっては、この映画が「人生で初めて観た映画」になります。
僕としては、色々と考えて、この映画を彼女の人生初めての映画として、プレゼントしたつもりです。
まあ、この映画が、彼女にとって何かしらの意味を持って欲しいと思ったりすること自体、親のエゴでしかないわけですが・・・
僕は、娘に、日本という国、そして、日本の自然、日本の文化、日本の人々に対して、誇りを持つ人間になって欲しいと思っています。
(僕は、幼いころ外国に長い間住んでいたときの日本欠乏症の反動で、過激なナショナリストになってしまっておりまして・・・)
で、この映画を観ることで、日本の自然の素晴らしさが、彼女の深層心理(?)、潜在意識(?)に沈着したらいいな、なんて思ったわけです。
我ながら、親というものは、ほんと押し付けがましいものですね・・・(汗)
ただ、うれしいことに、彼女は、2時間もの間、一回も泣いたり、むずかったりすることなく、目を皿のようにして、映画を観てくれました。
ヒグマや、イノシシ、サル、クジラ、アザラシ、キタキツネなどの動物が画面に飛び出してくるたびに、「あっ、クマちゃんだよ!」「あっ、オチャル(おサル)ちゃん!」「ちゅごーい!!(すごーい)」と小声で歓声を上げていました。
この映画は、「親子」がテーマになっているのですが、それは彼女にも分かったようで、子猿が死んでしまって母猿が悲しむシーンでは、「おかあちゃん(母猿)、ないてる?」と聞いてきたりもしました。
子狐の兄弟がじゃれあうシーンでは、「あちょんでるね!(遊んでるね)」と笑ったりもしていました。母熊が、子どもの餌を奪いにきたオス熊を威嚇するシーンでは、「おかあちゃん、おこった!」とつぶやいていました。
映画を観せるまでは、ドキュメンタリー映画は、娘にとっては難しすぎるのではないか(各シーンの状況をうまく理解できないのではないか)なんて、余計な心配をしていたわけですが、まったくそんなことはありませんでした。
人間ていうものは、自然の状況を理解する能力が初めから備わっているのかな、と思ったりもしました。いまさらながら、我々も自然の一部なんだと。すごいなあ、人間。
そんなこんなで、映画を観つつ、娘を観察(?)しつつ、僕としても、予想外の沢山の気付きがありました。
もちろん、僕自身も、この映画を心から楽しみました。
BBCの自然番組に近いスケール感と格調を感じさせつつ、嵐の相葉君など愛嬌のあるキャスト(声)を起用して、動物(映像)と人間(観客)の距離をぐっと縮めるところなど、お見事!と思いました。
あと、食物連鎖だけでは語れないような、動物間の関係性が浮かび上がっていて、私にとっては新たな学びでした。
例えば、屋久島のサルとシカの共存関係。サルが樹上で木の実を食べているときに落ちた、木の実の食べかすをシカが食べているシーンなど、サルがシカのために木の実を多めに落としてあげているようにさえ見えました。シカはその御礼(?)に、サルを背中に乗せて遊ばせてあげたりもしているし!
アザラシとラッコが、ちょっかいを出し合うシーンなどもそう。自然界は、弱肉強食の世界のようにいわれているけど、「遊び」の世界も沢山ある。
あと、この映画のクライマックスは、下北半島の子ザルの冬越えのところでしょうが、僕が思うに「裏のクライマックス」は、エンドロールですね(笑)
この映画は、日本を代表する30人の動物カメラマンが、日本全国30カ所以上で2年半にわたり撮影してきた1000時間にも及ぶ映像から編集されたものだそうですが、その撮影風景がエンドロールとともに少しだけ流れます。
ハンググライダーで撮ったり、サメの横を泳ぎながら撮ったり、決死の覚悟でクマに近づいて撮っていたり・・・その撮影現場の凄まじさに思わず涙が出そうになりました。カメラマンのみなさまに、敬意を表します。
以上、長くなりましたが、感想です。是非、観てください!