日本再発見ノート Rediscover Japan. 

株式会社さとゆめ・嶋田俊平の日々の思い、出会い、発見

決して自分の限界を超えないこと

先週あたりから、出張に行かず、東京のオフィスでの日々。
仕事柄、年度末は報告書づくりなどに追われる。これはこれで大切なことなのだけど、どうしても気分が晴れない。

ということで、午前中は資料集めと気分転換を兼ねて、神田・神保町へ。いつもは平日でも古本漁りの人が沢山いるのだけど、今日はひともまばら。そのうち、雪までパラついてきた。しかし、こんな静かな神保町もなかなか良いですな。


さて、結局6冊くらい買ったのだけど、その中の1冊にはっとさせられるフレーズがあった。

デザイン性、機能性はもとより、ペットボトルをリサイクルした素材を使ったフリース等の環境への取り組みでも有名なアウトドアブランド「パタゴニア」の創業者イヴォン・シュイナードのエピソード。

(会社が順調に成長し、販売店も着実に増えていった1980年代、近いうちに事業規模10億ドルを達成できるだろうという試算結果を見たとき、喜ぶのではなく、危機感をあらわにしたという。)

「世界で最高の品質を誇るアウトドア衣料品を作ろうとする会社が、ナイキの規模になれるでしょうか」「十卓のテーブルしかない三ツ星のフランス料理レストランが、五十卓に増やしても三ツ星の評価を維持できるでしょうか」と、イヴォンは語気を強める。

(そして・・・)

「決して自分の限界を超えないこと」。己を知り、己の強さと限界を知り、己に与えられた範囲内で生きる。この教訓に立ち返った時、イヴォンは、人生をシンプルにし、物質の消費を減らし、菜食中心の食生活をし、地球に対して与えているダメージを減らすことに努力することを決心した。
そして、パタゴニアは、従業員の二十%を解雇し、企業理念にそぐわないすべての事業を廃止した。本来あるべき規模にとどまり、アウトドアのスペシャリストでありつづける、という目的を果たすためだった。

僕を含め、僕の周りにはパタゴニア製品の「品質」に対して全く疑いを持たない「信者」が多いが、それは、そのすぐれた「品質」を頑なに維持しようとする「決断」があってこそなのだ。

このエピソードを読んで思ったのは、もっと自分の生活や仕事の「品質」を守るための努力を意識してやらなければ、と言うこと。そうしなければ、ライフワークとしての「持続可能な地域社会づくり」なんて、おぼつかないだろう・・・

社会起業家―社会責任ビジネスの新しい潮流 (岩波新書)

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