マーケットをつくる。
先日、薪炭キャンペーンの勉強会で、パルテノペで総料理長をされている渡辺さんにお話をしてもらった。
ナポリピッツァの歴史や、都心で薪を使う工夫と苦労など、ためになる&楽しいお話が満載で、時間はあっという間に過ぎてしまった。聞いたお話の要旨は、後日薪炭キャンペーンのホームページに掲載したいと思う。
勉強会のあとは、渡辺さんのお店に移動して、ナポリピッツァなど、南イタリアの料理をお腹いっぱい頂いた。ここでピッツァを食べながら、聞いたお話はとても印象的だった。
ひとつは、マーケットをつくる、ということ。
渡辺さんがパルテノぺを開業した頃、東京に本格的なナポリピッツァを出す店は5店くらいしかなかった。その後、渡辺さんは、自分の店の経営だけでなく、ナポリピッツァの本を何冊も出されたり、真のナポリピッツァ協会日本支部を設立されたり、ナポリピッツァの魅力と伝統を日本人に伝えることに尽力されてきた。
そして今では、東京だけでも、ナポリピッツァの店は100店を超え、まだまだ増え続けているのだという。ナポリピッツァの市場、マーケットができたと言える状態だ。
店を繁盛させることも大切だが、その先には市場をつくり育てるというステージがある。そのステージまで到達されているのだ。
渡辺さんは、「最初はピッツァなんて興味がなかったんだけど、気づいたら・・・」なんておっしゃっていたが、とてもすごいことをされたのだなあと感嘆しきり。
もうひとつは、雇用について。
渡辺さんのお店はほとんどの店員が正社員なのだと言う。開業してしばらくしてから、アルバイトを正社員に切り替えたのだと言う。普通の飲食店は、店長と料理長以外はアルバイトというのが一般的な飲食業界でこれはすごい。
「人件費はもちろん重いですよ。だけど、アルバイトが接客しているのでは、店のクオリティは保てない。質を保つために当然のことをしただけですよ。」
実際、店のお客さんのほとんどはリピーターだと言う。そして、不況の影響もあまり受けていないのだそうだ。
人件費と質はトレードオフ、これは当たり前のことだけど、そこをどうバランスをとるかは永遠の課題だ。
今後不況で、派遣切り→正社員切りへと、どっと進んでいきそうな気配だが、そこに何が残るのか・・・日本中で考えなければいけないだろう。
いやはや、他の業界の人とお話すると、沢山勉強になります。