サステナブル・コミュニティ研究会ニュースレターVol.5 有事の共助と日常のつきあいの関係が明らかに
東日本大震災後の2011年4月に三井不動産レジデンシャルさんからお声掛け頂いて、「サステナブル・コミュニティ研究会」の立上げに参画させて頂き、都市のコミュニティのあり方を検討してきましたが、今回、面白いニュースレターを出すことができました。弊社・さとゆめで、調査全般の統括をしました。分析は、立教大学経済学部経済政策学科 修士課程に在籍していた猪股有佐さんに協力頂きました。
有事の共助と日常のつきあいの関係が明らかに~顔見しりが20人以上いる人の7割が、「災害時に駆けつけてくれる人がいる」~
http://www.mfr.co.jp/company/information/2014/pdf/0918_01.pdf
東日本大震災以降、災害時の共助の基盤としても、日頃からコミュニティづくりをしておくべきという話をあちこちで聞くようになりましたが、「セキュリティ」や「プライバシー」「利便性」を追及する中で「人に会わなくても生きていける環境」をつくってきた社会・業界・企業が軌道修正をしていくのは簡単ではありません。
しっかりとした裏付け、データ、論拠がなければ、大きなものを動かすことはなかなかできません。今回のリリースが、そのきっかけになればなぁと思っています。
ありがたいことに、ヤフーのヘッドラインにあがったり、マイナビニュース、不動産ニュース、Biglobeニュースなどなど、沢山のニュースサイトが取り上げてくれています。嬉しい限りです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140922-00000031-mycomj-life
http://news.mynavi.jp/news/2014/09/22/045/
http://netallica.yahoo.co.jp/news/20140922-00000010-cobs
http://www.re-port.net/news.php?ReportNumber=39741
以下、少し詳しく。
今回のリリースは、三井不動産グループが管理するマンション5棟計1575戸の居住者を対象にアンケート調査を行い、以下の3点について把握・分析したものです。
①災害時の助け合いに関する意識
②日常のつきあいと災害時の助け合いの関係
③マンション居住者の日常のつきあいの実態
詳細はリンク先をご覧頂ければ幸いですが、
- 20年以上の築年数を経たマンションでも、災害時に駆けつけてくれる人が「いない」と考えている居住者が5割を超えること、
- そんな中でも、顔と名前が一致する人が20人以上いる居住者の7割は、災害時に駆けつけてくれる人が「いる」と考えていること、
- 平時から「おすそ分け」を行っている人は、行っていない人より「顔と名前が一致する人」の数がはるかに多いこと(つまり、「おすそ分け」は、有事の助け合いの重要な素地となること)
等々、なんとなく感覚として人々が思っていたことを具体的な数値を持って示せたことが今回の一番大きな収穫かと思っています。
東日本大震災以降、災害時の共助・互助を生むための基盤として、日常的なコミュニティ形成に関心が高まっていますが、首都圏のマンションにおいては、災害時の共助・互助と日常的なコミュニティの関係に関するデータやガイドラインが、これまで十分ではなかったのではないかと思っています。
今回の成果が、マンション管理運営の現場で、コミュニティ形成活動や防災活動を後押しすることになったり、マンション選びの基準として“コミュニティ”という新たな判断基準が加わることに繋がればと、ささやかながら願っています。
なお、我々SC研としても、今回の調査結果を受け、新築分譲マンションの居住者向けイベント「Park HOMESグリーティング(入居あいさつ会)」において、 “顔と名前が一致する人が20人”を一つの目標として、居住者間のコミュニティ形成を支援していこうと考えております。
また、「Park HOMESグリーティング」以外でも、今回の調査結果を活用する形で、マンション管理組合、自治会等の皆さまに活用頂けるツールや支援プログラムの開発に取組んでまいります。
以上、ご報告でした。