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日本再発見ノート Rediscover Japan. 

株式会社さとゆめ・嶋田俊平の日々の思い、出会い、発見

東海パルプ・社有林


ところで、今回の登山で驚いたのは、我々が歩いたコースが全て東海パルプ株式会社(現・特種東海製紙会社)の社有林(井川社有林)だったことだ。

さらに言うと、我々がテントを張った山小屋も、利用させてもらった山岳トイレも、お世話になったルート案内の標識も、さらには登山道まですべて、民間企業である東海パルプが管理していたのだ。しかも、とても親切な対応、きれいなトイレなど、民間ならではのサービス力を発揮していたし・・・

↓のような標高3千メートル以上の頂上にある避難小屋のような、到底「儲かりそうもない」施設を民間企業が管理・維持していることが、正直まだ信じれないくらいだ。

ちょっと調べてみた。

http://www.tokai-pulp.co.jp/company/img/map.gif
(出典:東海パルプホームページ

  • 井川社有林は、くさび状に突出した静岡県の最北端、大井川の最上流部に位置した、東西の最広部役13km、南北約33kmの1団地で面積は約24,430ha
  • 民間が日本国内に所有する1団地としては最も広く、東京のJR山手線で囲まれる面積の4〜5倍に相当
  • 我が国第4位の高峰である間ノ岳(3,189m)をはじめ、標高3,000メートルを越す山を10座も擁する。(北岳や甲斐駒などは入っていないが、南アルプスの主要山岳はほとんど入っている・・・)
  • 江戸時代、駿府の防御としての直轄地(天領)であり、その管理を、酒井家が任じられていた。その後、明治28年に東海製紙の創業者である大倉喜八郎が時の酒井家当主酒井忠惇から購入。
  • 大倉喜八郎は、購入後ただちに、東京帝大助教授の右田半四郎に山林調査を依頼、その結果、豊富な森林資源・水資源が判明。
  • 材生産や製材、発電事業にまで夢を膨らませ、井川社有林の木材資源と大井川での水力発電を組み合わせた事業が東海製紙の起源となった。

なるほどなるほど。

確かに、千枚小屋からの下りの登山道のわきには、木馬道の跡があったり、かつては林業生産をしていた痕跡があちこちに残っていた。

なお、現状どのような管理をしているかは、とあるプレスリリース資料(「原料配合率乖離問題に関するお詫びとお知らせ」・・・)に、書かれていました。

南アルプス井川山林は、広大な亜高山帯森林資源を保有しておりますが、森林は単なる木材資源供給の場であるのではなく、水源涵養機能、土砂流出防止機能、大気保全機能(二酸化炭素の吸収機能)などの多面的な機能を有する次世代に伝えるべき社会共有の財産として位置づけ、その保全に努めております。従って現在、収穫を目的とする伐採は行っておりませんが、森林の多面的機能を損なうことのないよう森林計画を策定し、これに沿った定期的な間伐等、育林作業を実施しております。
(中略)
現状では井川山林におけるこれら環境対策は収益を生むことはありませんが、都市の近くに残されたかけがえのない大自然を守り育てていくことが我々の使命であるとの認識に立ち、これからも積極的な保全活動を展開していく所存でございます。
また、間伐材調達への取り組みについて、各県の森林組合連合会と共同で調達を始めていますが、今後さらに域内間伐材の有効活用を推進し月間1,000tを目標に積極的な活動を進めてまいります

現状は、積極的な生産活動はしていないようですが、今後の社会情勢のなかで木材需要が高まってきたとき、社有林内での伐採が優先されるのか、あるいは自然保護等の観点から後回しにされるのかなど、とても興味深いです。

これから南アルプス登山を毎年恒例にしようと友人と話しているので、地域の森林管理についてもウオッチしていこうと思う。

(登山基地・椹島には、創業者・大倉翁の一周忌を記念して植えられたサワラが立派に大きくなっていた。)