智頭町訪問
雪が舞う鳥取空港に1時間遅れで到着。
寒波による降雪で、離着陸に遅延が出ていたのだ。
空港から、とっとり総研の早尻さんのご案内で智頭町へ。
学生時代京都から鳥取に帰省する度に、「スーパーはくと」の車窓から何度となく見ていた智頭の町。
訪問目的は、3月に開催するシンポジウムに町長に出演頂くことになったのだけど、その御礼と説明に。
智頭町長の寺谷誠一郎さんはずっとお会いしたかった方なので、念願叶う。
かつて林業で栄えたものの深刻な過疎化に悩んでいた鳥取県智頭町を、「日本1/0(ぜろぶんのいち)村おこし運動」「百人委員会」等を立ち上げ、住民の自主的な動きを強力に後押しすることで、古い建物や自然、生活文化を売りにした観光地として再生してきた方。鳥取市との合併に反対し、町の自立を守ってきた方でもある。
2時間近く仕事以外のことも含め沢山お話させてもらったのだけど、一番印象に残ったのは、「予算」について。
「これまで小さい自治体は、国や県からもらう交付金や助成金にすがって生きてきた。町の予算配分も国の縦割り、省庁の力関係がそのまま反映されてきた。予算の数字は上から降ってくるものだった。本当の町民の心は、この数字のどこに表されているのだろうと考えるようになった。」
「今取り組んでいることは、予算に町民の心を込めること。住民が自主的に参加する百人委員会で、限られた予算をどう使うのか、町に何が必要で何が必要でないのか、徹底的に議論させる。そして、そこでこういう予算が必要という結論が出たら、思い切ってポンと予算をつける。自分たちの心のこもった予算なら、住民参加とか難しいこと言わないでも、自分たちで責任を持ってやる。」
「町づくりは、三輪車。住民が前輪、議会と執行部が二つの後輪。三つの車輪がしっかりしていれば、多少よろよろしても決して倒れない。これまでの自治体は、前輪(住民)の力が弱かったからバタバタ倒れてしまったのだ。」
ただただ頷くばかり。「事業仕分け」のようなパフォーマンスではなく、村民・町民・市民・県民・国民が本当に「自分たちの心をこめた」と思える予算が成立できるような行政システムができれば、どんなに素晴らしいだろうか。智頭町の壮大な社会実験から目が離せない。
町長は、町のことを「我が家」と呼ばれていた。そして、町の子供たちを、女の子は「森の妖精」、男の子は「森のレンジャー」と。「森で生まれた子は、森を守らないといけない。そして、大人になったら世界に羽ばたいて欲しい。」
鳥取にはプライベートでも年に2,3回は行くので、智頭町にはどんどん足を運ぼうと思った。そして、色々とオファーを頂いたので、微力ながら協力していこうと思う。
(智頭の大山主の邸宅で重要文化財、石谷家住宅。一般公開されているが、今回は見られなかった。次回は必ずや。)