日本再発見ノート Rediscover Japan. 

株式会社さとゆめ・嶋田俊平の日々の思い、出会い、発見

栄村に田植えに行ってきた。

この週末は長野県は栄村に田植えに行ってきた。

去年から、栄村の青倉集落に移住した妻の知人(大学時代の先生)に毎月お米を送ってもらっていて、そのお米がとてもおいしいので、一度どんなところで作られているのか見てみたいと思っていた。

そんな折りに、ありがたいことに、田植えがてら遊びに来ないかと誘って頂いたのだ。

本州では東北も含めて、GW過ぎには大体田植えは終わっていると思うのだが、栄村ではどうやら今が田植え真っ盛りらしい。

長野県栄村。長野県北端、新潟県との県境にある人口2500人の村。シベリアから日本海を越えてやってくる湿った北風が、どかっと雪を降らす、日本屈指の豪雪地域。平成18年の豪雪の時も、よくニュースに取り上げられていたところだ。

あと、「道直し」、「田直し」、「下駄ばきヘルパー」など、村民自らが考え動き、国の補助に頼らず地域のインフラや、高齢者福祉のセーフティネットを作り上げてきた共助・自立の村としても有名。

そんな話しも聞きたいなあと思いつつ、新宿から長野までの高速バス、JR飯山線を乗り継ぎ栄村に向かった。

+++

土曜日はあいにくの雨。田植えは翌日に回して、栄村の自然探索に連れて行ってもらった。

これが、またすごい!!

雪はまだ残ってるし・・・

カタクリ

ミズバショウ

イワカガミとフキノトウ

サンショウウオの卵もあった。

こんなに沢山の生き物達を拝めるとは。

そして、この景色!

ちなみに、下の写真の左側には、「河岸段丘」が見える。地理の授業で習っていたものの、こんなにもスケールの大きいものだとは思わなかった。

一番下の段は栄村、二段目、三段目は新潟県の津南町らしい。

+++

日曜日。前日とは打ってかわって、抜けるような快晴。絶好の田植え日和。

先生が山の中腹の田んぼを用意してくれていた。

京都で手伝ったことはあったが、久々の泥の感じがたまらない。泥に足を踏み入れるときのスリル感、苗をぐっと差し込むときの水の温かさと泥の冷たさ。

今回の田植えは、東京からやってきた保育園児たちと親御さんも一緒だったのだが、園児は田植えよりカエルを捕まえるのに大熱中。それはそれで楽しそう。

先生から聞いた話では、この棚田は、昭和30年代、村の若い衆が、山上のため池とそこから縦横無尽に張り巡らされた水路とともに拓いたもの。そして、そのため池の工事の際には、村人(と荷を運んでいた牛)が殉死されたとのこと。

ちなみに、その田んぼの所有者も高齢化が深刻なのだけど、3年前からは村の若衆が「受託作業班」を結成して、耕作を続けられない高齢者の代わりに耕作をしているそうだ*1。作業班の人々も勤めがあるので、必然的に、受託作業は出勤前と帰宅後になる。朝は4時に起き、水の点検から始まり、草抜きなどの作業を片づけ、7時に出勤するのが日課とのこと。

そんな、ありがたいお米を、自分は毎日頂いていたのだ。

「いただきます」の意味を改めて考えた週末。

*1:この棚田は条件不利地ということで、中山間地域等直接支払制度の対象地になっている。但し、集落単位で協定を結んで認可を受けているので、耕作放棄の田が増えて、まとまりが失われてしまうと、支払いが止まるどころか既に支払いを受けた分も返還しないといけなくなる恐れもある。なので、いかに耕作放棄田を出さないようにするのかというのは切実な課題なのだそうだ。