読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

日本再発見ノート Rediscover Japan. 

株式会社さとゆめ・嶋田俊平の日々の思い、出会い、発見

「コミュニティが顧客を連れてくる-愛される店・地域のつくり方」(久繁哲之介著)

コミュニティが顧客を連れてくる 愛される店・地域のつくり方

コミュニティが顧客を連れてくる 愛される店・地域のつくり方

3年ほど前に読んだ「地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか?」の著者の新著。

前著「地域再生の罠」は、タイトルに煽られて読んでみたのだが、ハコモノ行政批判がメインの内容で、ハコモノづくりにはほとんど関わっていない自分としては、正直、あまりピンとくるものが無かった。

しかし、この新著は、「コミュニティ」に焦点を当てたもので、自分の仕事と照らし合わせて読むことができ、面白かった。

個人的な読後感としては、「地域再生の罠」が★2つとしたら、「コミュニティが顧客を連れてくる」は★4つくらいかな。

いくつか印象に残ったところを備忘録として、メモしておきたい。

自分が顧客ならば絶対に「攻略・誘導されたくない」から、自分は商人として「顧客を攻略・誘導したりしない」

北海道浦河町で、コミュニティカフェなどに取り組んでいる女性の、流行の経営戦略論に対する言葉。
これにはすごく共感。自分も5年くらい前まではSWOT分析とかターゲティングとか色々と試行錯誤したが、最近は、マーケティングという言葉はあまり使わないで、どうやってお客さんの物語を脇役としてつむいでいくのかというふうに考えるようにしている。確かに、誰だって「攻略・誘導」されたくないよね。

P・F・ドラッカーの名言に「事業の目的として有効な定義はただ一つである。それは、顧客を想像することである」があります。このドラッカーの顧客創造論によれば、経営者の評価は「顧客の表情・声」で決まります。

先日の常総青年会議所でやった物語マーケティングのワークショップで、参加者から「経営目標から具体的な事業内容にブレークダウンしていくワークショップは沢山経験したことがあるけど、お客さんを主人公にして、名前付けたり、年齢や性格決めたりしてから事業内容にブレークダウンするワークショップは初めてで、面白かった」という感想をいただいたけど、まさに物語マーケティングは顧客志向の方法論。うんうん、間違ってなかった。

なぜ日本の地方都市は今も尚、スローフード飲食店を育成しないで、大資本チェーン店の誘致に熱をあげるのでしょうか?
(中略)
地権者(テナントを貸す者)にとって、大資本チェーン店に貸す方が儲かるからです。こうして、地方都市の駅前など一等地は、どこも同じような大資本チェーン店ばかりが誘致されて、そこも同じような無個性な風景になっています。

う~ん、なるほど。地方都市が衰退し続ける本質は「地権者の利益追求」にあると。商店街に補助金を出したりするのは地権者の利権を強めるだけ。所有権と経営権を切り離して、商店街の店の配置を顧客目線で再編成してうまく再生できた商店街があると聞いたけど、そういう仕掛けがもっともっと必要だな。

多民族国家の欧米における調査やマーケティングは、民族毎の違いを無視できない背景から、エスノグラフィ(民族観察記述)が重要視されているようです。
エスノグラフィは、調査者が一切の仮説や先入観を捨てて、消費者の行動を観察し続けて、業務改善の「仮説を発見する調査」です。自治体やマスコミが重用するアンケート調査とは、アプローチが正反対です。

これ、日本だって同じだよね。確かに欧米ほど多様性はないかもしれないけど、同じ○○市民と言ったって、職業や職種、出身集落などによって考えは全く違う。今対馬で進めている計画づくりでも数十人に対してヒアリングをやって、「対馬市民は、こういう意見を持っている」ではなく、「こういう立場のひとは、こういう考えを持っている」という鮮明な情報が得られて、的確な施策立案につながった。エスノグラフィって言葉は初めて見たけど、これは詳しく勉強してみよう。

マイケル・トレーシーとフレッド・ウィアセーマは「全ての経営活動は、3戦略のいずれかでライバルと圧倒的な差別化を図れば、勝者になれる」と主張します。

  1. カスタマー・インティマシー戦略 → 交流戦略
  2. オペレーショナル・エクセレンス戦略 → 効率戦略
  3. プロダクト・リーダー戦略 → 高級戦略

なるほど。こういうフレームワークは頭の整理になる。自分が今関わっている地域では、まずは①から始めて③に持っていく感じだろうか。先日開催された、信州信濃町の癒しの森サロンも、まさにこの交流戦略の一環と位置づけられるかな。

  1. 立ち読みをマイナスに考えた小さな書店は淘汰された一方、プラス思考に発想を転換したコンビには急成長を遂げた。
  2. 俗に「滞留時間の長さと、消費される金額は比例する」と言われるように、滞留性を高めるほど、売上もアップする。

これは地域も同じですね。経済効果が云々とか短期的な利益にこだわるのではなく、まずは、居心地のいい、また来たくなるような雰囲気、ホスピタリティをいかに育んでいくかですね。

++++

などなど、腑に落ちた内容が沢山ありました。また、具体的な事例も満載なので、非常に分かりやすいです。

お店をされていている方、地域づくりをされている方、コミュニティに関心がある方に特におススメです。ぜひご一読をおススメします。

コミュニティが顧客を連れてくる 愛される店・地域のつくり方

コミュニティが顧客を連れてくる 愛される店・地域のつくり方


地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか? (ちくま新書)

地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか? (ちくま新書)