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日本再発見ノート Rediscover Japan. 

株式会社さとゆめ・嶋田俊平の日々の思い、出会い、発見

「ドイツの地域再生戦略 コミュニティマネージメント」

ドイツの地域再生戦略 コミュニティマネージメント

ドイツの地域再生戦略 コミュニティマネージメント

基本的には、ドイツのコミュニティ再生事業「社会都市」の紹介がメインの内容。

「社会都市」事業というのは、「既成市街地のなかで衰退し様々な問題を抱える特定地区を指定し、連邦政府、州政府、自治体が支援し、多様なパートナーシップを構築しつつ、衰退地域を改善していくというプログラム」で、1999年に連邦交通建設都市省で都市再生政策の1つとして開始され、2008年までにドイツ連邦全体で約520地区、330市町村で実施されてきたそうだ。

事業の特徴としては、

社会都市は、連邦政府、州政府、自治体、地元コミュニティ、ドイツ都市問題機構、関連企業や団体などの連携によるパートナーシップに基づいており、ボトムアップのみでもなく、トップダウンでもなく、それぞれの力を発揮し、イコールパートナーとしていわゆるパートナーシップを図りつつ協力して実施されている

ことであり、予算の大きさからしても、ドイツ政府・州政府等としても、相当力を入れてきたことが分かる。

これまで毎年、概ね50地区が新たに指定されており、1999年から2008年までに連邦政府は7億6千万ユーロ(約988億円)の資金を投入し、州政府や地元自治体を含めると約22億ユーロ(約2860億円)の公的資金を投入してきた。

「課題は山積しており、計画から運用、体制、評価方法など今後解決していく必要のある課題は多い。また指定を受けたものの、ほとんどプログラムを実施していない地区もあり、すべてが成功している訳ではない」と書かれているように、当たり前のことだが、うまくいってるところも、うまくいってないところもあるようだ。

自分として、参考になったところは、各地の「社会都市」事業の推進の中核となる「コミュニティ・マネージャー」の話。

「社会都市」事業の推進主体は、

1)行政が運営費を出資し自治体職員がコミュニティ・マネージャーとして推進するケース
2)行政が出資し民間地域団体や専門団体に委託するケース
3)住宅企業が出資し住宅企業の社員がコミュニティ・マネージャーとして推進するケース
4)自治体と住宅企業やその他の団体が共同出資して、その団体の社員が推進するケース

等があるそうだ。日本の地域再生事業は、大体が国や自治体が費用を負担し、自治体が自分たちで進めるか、NPOに委託する場合が多いように思うが、住宅企業が積極的に資金的にも人材的にも関与しているのは面白い。

なお、いずれのケースにも共通する、コミュニティ・マネージャーの資質として、以下が挙げられている。

・社会能力全般の高さ
・言語能力を含むコミュニケーション能力
・多様な社会層の人々との交渉や調停・調整能力と行動力
・チームのリードと動機づけの能力
・建築・都市計画や教育福祉・ソーシャルワークなどの専門性
・計画・プラニング能力とコミュニティワークの理解
・専門以外も広く理解するジェネラリスト
・経済活動への理解
・行政の計画や事業・手続きへの理解
・財政や資金の運用と管理等の実務能力
・プロジェクト評価能力
・当該地区を熟知しており、さらに熟知しようとする姿勢

これらは非常に納得。日本の地域再生事業を中心となって進める場合も、こういったスキルが必要になることは実感している。そして、今自分はこれらのスキルを高めていかなければと思っている。

本書では、ドルトムント市ノルトシュタット地区、ハンブルグ市アルトナ・ルルプ地区など、いくつかの事例も詳しく紹介しているが、いまいち現地の土地勘がないので、ピンと来ず・・・。機会があれば、現地を見てみたい。

いずれにしても、内容盛りだくさんの本なので、折々に読み返してみよう。