日本再発見ノート Rediscover Japan. 

株式会社さとゆめ・嶋田俊平の日々の思い、出会い、発見

2010年を振り返って〜都市と農山村の『相互作用』を創出する『双方向』ビジネス〜


昨日、帰省先の鳥取から自宅に戻った。

鳥取は、ニュースでも大きく取り上げられていたように、記録的な積雪があり、鳥取市内の祖父母宅でも50センチ近く積もっていて、雪かきしないと外にも出られない状況だった。

JR山陰線で列車が止まって、乗客が車内に閉じこめられている等々のニュースもあったりしたので、帰られるのか心配していたが、我々が予約していた岡山行き特急いなばは通常通りの運行で、無事帰路につけた。

それにしても、列車が中国山地を越えて岡山に入ったとたんに、灰色の空が青空に変わり、積雪で銀世界だった地面が緑や黄色のからっとした地面変わったのには驚いた。山陰と山陽とは、よく言ったものだなあ。

鳥取に居る間は、なんとなく日本列島全域が雪で四苦八苦しているのだろうと思っていたのだけど、全然そんなことはなく、鳥取・島根が特別な状況に置かれていたのだと改めて認識した。

そんな車窓を見ながら、昨年のことを振り返ってみたりした。

昨年は、外から見たら相変わらずな感じだろうけど、自分にとって大きな節目だった。そう思えるのは、自分の仕事の流儀(ビジネスモデル?)に手応えを得ることができたからだ。

去年の頭に、自分の「ビジネスモデル」はこういうものだろうという「仮説」を立て、それを明確に意識しながら営業活動をしたら、それなりに思った通りの仕事を得ることができた。そして、それらの仕事がとても楽しかった。(と言っても、まだそれらの仕事は続いているのであれだけど)「ああ、やっぱり自分はこういう仕事が向いているし、周りからも求められているんだなあ」という確信を得ることができたのだ。

その自分なりのビジネスモデルと言うのは、一言でいうと都市と農山村の『相互作用』を創出する『双方向』ビジネスである。

都市と農山村の単なる『交流』ではない。一般的に言う『交流』には、どうも、都市の財(カネ、ヒト)を恵まれない農山村に届けるというニュアンスを感じてしまう。それでは、農山村部の課題の本質的な解決にはならないし、ましてや都市部の企業や市民のモチベーションも続かないだろう。

都市と、農山村がお互いの足りないところを補いあって、相互に刺激しあって、お互いが変わらないといけないと思っている。それを、私は「相互作用」と呼んでいる。都市部に足りなくて、農山村部が提供できるものは沢山ある。木材、水、食料、空気、体験、人の温かさ、癒しなどなど。そういったものに対する潜在的なニーズを顕在化し、商品やサービスにして都市部の企業や市民に売る。都市は相応の対価や気持ちを農山村に還す。そこに始めて、対等で持続可能な関係が生まれる。

長野県信濃町で進めている「企業のふるさとづくり協定」もまさに「相互作用」だ。だからこそ、農山村部も企業も無理のない、身の丈にあった形で関係を深めていけていると思う。また、現在進行形なので詳しくは書けないが、仙台や静岡県某市や高尾山、四国でも、そういった相互作用の仕組みを提案し、創造していきたいと思っている。

参考:「農村の幸せ、都市の幸せ 家族・食・暮らし」 - 日本再発見ノート Rediscover Japan.

あと、このビジネスモデルのキモは、農山村側のクライアント(山村部の自治体や森林組合等)と都市側のクライアント(事業会社、広告代理店、NPO等)の両者と(バランス良く)おつきあいさせてもらうことだと思っている。都市と農山村片方とだけのおつきあいになってしまっては、いずれのクライアントのニーズにも十分に応えられなくなってしまう。

なぜなら、当たり前のことだけど、それぞれ別の「価値」を求めており、その間に立つ自分としてはそれぞれに異なる「価値」を提供しないといけないからだ。

農山村側は、地域資源の商品化、事業形成のためのマーケティングやブランディングのノウハウ・スキル、都市部の企業・NPO等のネットワーク資源等を求めている。都市側は、新しい事業の目や、CSR活動のフィールド、従業員の生産性向上・コミュニケーションスキル等の向上の方策、自然・環境に関するNPOや自治体等とのネットワーク等を求めている。それぞれに対してそういった「価値」を提供するのが仕事だ。(これが『双方向』の要素)

ちなみに、こういうことは、実は学生時代からNPO活動としてやっていたし、会社に入った当初から仕事としてもそれなりにやっていたけど、2、3年くらい前までは、「山村部にどっぷりと軸足を置いてやりたい」等々というこだわりが大きかった。

が、昨年の頭にようやく気付いた。両方とおつきあいしていることこそが、自分の強みであり、自分の存在価値を発揮できるポジショニングなんだ!!ということに・・・

なぜなら、都市側クライアントとのつきあいの中で得られる貴重な知見(インプット)こそが、農山村側クライアントが求めていること(アウトプット)であり、農山村側クライアントとのつきあいの中で得られる知見(インプット)こそが、都市側クライアントが求めていること(アウトプット)なので、そこにこそインプットとアウトプットの好循環が生まれるからだ。

こうやって書くと当たり前のようだけど、こういう境地に達するまでに結構時間がかかった。けど、今は結構吹っ切れている。自分は「これで食っていこう」と明確に意識した、腹を決めた。そういう意味で2010年は自分にとって大きな節目だったのだ。

そして、2011年。

今年は、もう一歩踏み込んで、自分が関わっている『地域のビジネスモデル』を形にすることを目指したいと思っている。

頑張ろう。

皆さま、本年もよろしくお願い申し上げます。