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日本再発見ノート Rediscover Japan. 

株式会社さとゆめ・嶋田俊平の日々の思い、出会い、発見

「人を助けて仕事を創る 社会起業家の教科書」

読書

人を助けて仕事を創る 社会起業家の教科書

人を助けて仕事を創る 社会起業家の教科書


ツイッターでフォローさせてもらっている山本繁( @YamamotoShigeru )さんの著書。(お会いしたことは無いですが、興味深いツイートをされてます。)

山本 繁
NPO法人NEWVERY理事長。1978年生まれ。97年慶応義塾大学環境情報学部入学。「若者たちが未来に希望を持てる社会」を創るために活動中。現在、ニートのためのラジオ放送局「オールニートニッポン」、漫画家志望の若者に格安で住居を提供する「トキワ荘プロジェクト」、大学・短大・専門学校における中途退学の予防に取り組む「日本中退予防研究所」等、数々のプロジェクトを行い、テレビ、新聞、WEB等のマスコミ(NHK「福祉ネットワーク」、朝日新聞「社会を変えたい」、など)で200回以上取り上げられている。著書に「やりたいことがないヤツは社会起業家になれ」(メディアファクトリー)
Amazon.co.jp: 人を助けて仕事を創る 社会起業家の教科書: 山本 繁: 本

社会起業に関する本というと、「そのひとのサクセスストーリー」(属人的な成功体験)な本ばかりだが、本書は、自身の体験や仲間の起業家の活動を踏まえて、社会起業を目指す若者が持つべき素養・ビジョン、越えるべき課題、そして社会起業の魅力をできるだけ普遍化していて、副題にもあるようにまさに「社会起業家の教科書」をつくることに成功している。しかも、学ぶべきポイントごとに見開き、イラスト付きで解説していて、とても読みやすかった。

一方で、「教科書」というのは、たいがい「つまらない」「理屈は分かるけど、どうしたらいいのか分からない」ものだけど、本書が単なる「教科書」に留まっていないのは、著者自身がこの8年間に試行錯誤してきたエピソードが全編に盛り込まれていて、「私はこうやった」という「身近な見本」「ロールモデル」を提示できているからだろう。やっぱり「私はこうした」というのが一番説得力がある。

これまで読んだ「社会起業本」「ソーシャルビジネス本」(?)の中で一番良かった。わずか8年の経験の中で(自分の感覚として8年なんてあっという間なので、わずか、と言って良いだろう)、これだけの「職業論」「プロフェッショナル論」を構築されているのはすごい。感嘆。

自分もこれまで6年間、民間企業に在籍しつつ、森林・山村・林業のコンサルティング分野で自分なりに工夫しながら仕事をつくってやってきたが、ここまで「プロフェッショナル論」を展開することは到底できない。自己分析、職業分析が全然甘いのだろう。

本書には、目から鱗のことが沢山載っているが、私が特になるほど〜と思ったのは、あとがきの最後から2つ目の文章。

僕は政治には基本的に興味がありません。なぜなら政治は大雑把にしか社会を変えることができないと思っているからです。しかしNPOというのは、生活の隅々までを変えることができると思っています。そして、僕たちが生きる意味とは、日々の生活にこそ宿っていると考えるのです。だから、政治的ではない別の方法で、僕が事業以外に社会に役立てる方法はあるだろうかと考えたのです。その答えが本書の執筆でした。
(本書P197より抜粋)

NPOというのは、生活の隅々までを変えることができる」、そして「僕たちが生きる意味とは、日々の生活にこそ宿っている」。

私もかれこれ10年以上、NPOに携わっているが(最近はあまり出来ていない・・)、まさにNPOの存在意義であり、活動の魅力は、これに尽きると思う。

一方で、NPOにしても、「大雑把に変えること」を指向する団体・個人がいないわけではない。人それぞれ、と言える部分もある。

民間企業のコンサルタントにしても、「大雑把」を志向する人もいれば、「隅々まで」を志向する人もいる。やっぱり人それぞれ。どちらが良いわけでもない。人生観が表れる。

自分は、「隅々まで」を志向してきた。そして、これからも民間企業に軸足を置くにしろ、NPOに軸足を置くにしろ、「隅々まで」見ていくことで「日々の生活に宿る、生きる意味」を追求していこうという思いを強くした。

これが、本書を読んで自分が得た収穫。

追伸:庭のトウガラシが豊作です。