日本再発見ノート Rediscover Japan. 

株式会社さとゆめ・嶋田俊平の日々の思い、出会い、発見

後世に何を遺すか

先日、里山ねっと・あやべを立ち上げ、今は半農半X研究所を主宰する塩見直紀さんとお話する機会があった。

参考:コンセプトを「発明」する - 日本再発見ノート Rediscover Japan.

さすが「半農半X」というコンセプトを考えられ、沢山の若者たちが綾部に移住するきっかけをつくっている方。言葉のひとつひとつが、ストレートに伝わってきた。

一部を紹介したい。

  • 物語数

地域の豊かさを計る指標は「人」(にん)や「円」だけではない。綾部は、綾部で生まれる「物語数」で勝負したいと思っている。一万の物語を生み出したいと思っている。交流の中から生まれる物語を。

  • 生き方を模索している人を受け入れたい

年齢、性別、仕事関係なく、生き方を模索している人に来てもらいたい。生き方を模索している人は、初めて会った人でも、来た瞬間に長い間友達だったような感覚になるときがある。

  • 綾部にこだわらない

自分がこういう活動をする究極的な目標は、「人々の意識変革を促す」こと。都会に住んでいても、農山村に思いを馳せる人を増やしたい。意識変革の結果、よその地域に移住したとしても、全くオーケーだと思っている。

  • 私物化しない

自分書いた文章やメモも積極的にネットなどで公開することにしている。何も私物化しないでおきたいと考えている。私物化していると、死んだら何も残らなくなる。

こういったお話を聞きながら、塩見さんはなんでここまで、一点の曇りがないほどに、私欲を感じさせないのだろうかと不思議でしょうがなかった。ここまで徹底した人には会ったことがなかったから。

そして、帰りの電車の中で塩見さんにもらった名刺に書いてあった引用の一節を見て、少し分かったような気がした。

我々は
何をこの世に
遺して逝こうか。
金か。事業か。思想か。
内村鑑三「後世への最大遺物」

塩見さんは、「後世に何を遺すか」を基準に動いているのだ。後世を考えれば、確かに他の団体・地域との競争なんてちっぽけだ。

正直、自分はそんなことを真面目に考えたことはなかった。どんなに長くてもこれから10年後どうなっていたい、というくらいか。

塩見さんは、まだ40歳代前半。そんなに年も変わらない方が、「後世」を基準に動いていることに衝撃を受けた。

「後世に何を遺すか」