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日本再発見ノート Rediscover Japan. 

株式会社さとゆめ・嶋田俊平の日々の思い、出会い、発見

「人」の持続可能性

先週、持続可能性の指標を作ろうというワークショップで小川直宏先生(日大教授)にお話をして頂いた。

今、地域の持続可能性が問われているのは、今後、社会のインフラやコミュニティの互助関係、自然との共生関係(例えば、鳥獣被害の抑止など)を維持できなくなってきつつあるからだ。

その要因はもちろん色々とある。例えば、グローバリゼーションを背景とする地域産業の衰退、人々の価値観の変化による都市へ人口集中などがあるだろう。

これを克服するために、例えば、前者に対しては国際競争に勝ちうる量・質のサービスの提供、ニッチを狙うマーケティング、後者に対しては人々の価値観の転換による農山村への回帰の促進、などが対策として考えられる。

こういったことをこれまでの仕事の中で考えていたが、小川先生のお話を聞いて、避けては通れないもう一つの視点に気付かされた。

それは、「人口」というマクロな視点。

少子高齢化など「人口」の問題は、「しょうがない」「時代の流れだ」「その中でなんとかやっていくしかない」と既成事実としてあまり深く考えたことがなかったが、まさにここが「地域の持続性」の問題の根本であることは確かだ。

ので、マクロな視点にたって、どうやったら人口構成を適正にしていけるのか考えていく必要があるだろうなと思う。これは、地域ごとに考えるというよりも、国という枠組みで考えていかなければいけない問題と思うが。

なお、小川先生によると人口学の分野で「出生率のワナ」という定説?があるそうだ。

合計特殊出生率が、2.0を切ったときは「大変だ、大変だ」となって新聞の一面に載ったりするが、時間がたつと人々はそれに慣れてあまり話題にのぼらなくなり、2面になり、3面になり、そして新聞にも載らなくなり、人々が気付かない間に取り返しのつかない水準(1.5)まで落ちてしまうという・・・。今、日本はそういう状態らしい。慣れは怖い。

なお、「今の少子高齢化を乗り越えれば、人口が少なく、かつ幸せな社会がやってくるのではないか」という質問に対し、「出生率が1.6〜1.8程度なら社会システムは状況の変化に対応できる。しかし、1.5以下になると、社会システムが現実の変化のスピードに付いていけなくなり、様々な問題を引き起こす。そこが問題なのだ」とおっしゃっていた。

今、年金問題、医療問題などでいろんな問題が出てきているが、まさに現実の変化のスピードにシステムが付いていけなくなっているのだと言える。

以下、なるほどと思ったポイントをいくつかメモ。

  • 人口高齢化は、最初に出生率の低下がおこり、続いて中高年の寿命の伸びることによって引き起こされる。
  • 出生率低下は、「未婚・晩婚化の持続」「有配偶出生率の低下」の二つによっておこる。
  • 合計特殊出生率は、1.8から2に戻すのと、1.5から2に戻すのでは、社会的コストの大きさが全く異なる。出生率を戻すのは難しい。社会がそれに慣れてしまうのである(出生率のワナ)。長らく1.5を切った国で挽回できた国はない。
  • 日本の人口高齢化のメカニズムの変化をみると、2005年〜2010年が転換期であると言える。それ以前は「少子高齢化」が人口高齢化の主な要因であったが、それ以後は「長寿高齢化」が主な要因となった。
  • 平均寿命が延びると、年金など社会保障制度は崩壊する可能性が高い。再構築が必要である。
  • W.ロストーは、今の日本の状況を”Japan’s 4th Challenge”と言っている。最初のチャレンジは江戸時代の鎖国施策、2番目のチャレンジは明治維新、3番目のチャレンジは戦後の復興、4番目のチャレンジは少子高齢化。