日本再発見ノート Rediscover Japan. 

株式会社さとゆめ・嶋田俊平の日々の思い、出会い、発見

漁業あれこれ

先週金曜日、とあるワークショップの仕事で、漁業の資源管理をご専門のひとつにされている松田先生(横浜国立大学大学院)にお話をして頂いた。

漁業というのは仕事では全く縁がないが(魚は好きだけど・・・)、今回話を聞いて、漁業は、林業と比較して自然の営みにより激しく、より頻繁に左右される産業だという印象を強くした。

そういった条件の中で「生産する」「資源を保全する」というのはどんなに大変で難しいことなのだろうか。(動かない木の管理でさえ、難しいのに。)

以下、幾つかピンと来たポイントをメモ。

  • 漁獲量が減る理由としては、自然変動と乱獲がある。それらが二者択一で語られることがあるが、多くの場合重なって起こっている。自然変動で減ったところで乱獲を行い、資源が枯渇していく。
  • 自然変動で減ったマサバやマイワシを乱獲し、激減を引き起こしたことを教訓にする必要がある。自然変動に対応できる社会側の準備が必要である。
  • サンマやアジなど、日本の近海でとれる魚はまだいっぱいある。その時々にとれる魚を、工夫して食べていけばいい。魚屋に行く前からアジフライと決めるのではなく、魚屋に並ぶ魚を見てから素材と調理法を考えるべきだ。
  • 日本とノルウェーでは、魚の獲り方が全く異なる。日本は小さいうち、つまり親になる前に獲り尽くしてしまうが、ノルウェーでは、まんべんなく獲り、資源を保全している。この行動の違いは、漁業制度の違いによる。
  • 日本では、大半の魚種で許容量を超える漁獲枠が慢性的に設定されている。ノルウェーでは、「漁船ごとにあらかじめ漁獲枠を割り振る制度」や「漁獲枠を売買できる制度」*1が導入されている。この違いが漁獲物の質にも現れ、日本近海のサバは質が悪く値崩れするが、ノルウェー産のサバは脂が乗っており高値になる。
  • 一方で、日本は、知床の事例のように、漁業者が自ら禁漁区を設けたり、減船したりするする自主管理型漁業の取り組みが多くみられる。こういった取り組みも高く評価されている。
  • ヨーロッパの方式なども取り入れつつ、新たな日本型モデルを構築していくべきではないか。

*1:個別漁獲割当量Individual Quarter制度