日本再発見ノート Rediscover Japan. 

株式会社さとゆめ・嶋田俊平の日々の思い、出会い、発見

薪炭キャンペーン・メールマガジン(第8号)


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薪炭キャンペーン・メールマガジン(第8号 2008/3/28)

from 日本の森林を育てる薪炭利用キャンペーン実行委員会

>>> http://www.sumimaki.org/

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□ 目次

[1.キャンペーン事務局からご挨拶]
●3月も残すところ数日(事務局長 嶋田俊平)

[2.今月のヘッドライン]
● 池田炭の出荷ピーク 茶道用に年間20トン /など

[3.キャンペーン事務局からのお知らせ]
●キャンペーンにご参加ください!
●「火のある暮らしのはじめ方」好評発売中!!
●森林文化協会の本「森林環境2008」で、薪炭キャンペーンが紹介されています。

[4.今月のイベント情報]
バイオマス産業社会ネットワーク第77回研究会
「オーストリアのバイオマス利用最新事情〜木質バイオマス&バイオ燃料を
中心に(仮題)」

[5.キャンペーン賛同団体紹介]
NPO法人信州そまびとクラブ

[6.薪炭クッキング]
●燻し銀尚炭の春の燻製 (尚炭&真炭)

[7.コラム「炭わが人生」]
●インドのバイオマス燃料(国際炭やき協力会 広若剛)

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[1.キャンペーン事務局からご挨拶]

こんにちは。事務局・嶋田です。

すっかり春になりました。3月も残すところ数日。
この1年間を振り返っての満足感や反省点、新年度への期待や不安、色々な思いが胸の中に混在する今日この頃です。

薪炭キャンペーンは、2006年4月に本格スタートしてからちょうど1年が過ぎたわけですが、「火のある暮らしのはじめ方」の刊行、「火のある暮らし月間」の展開など、事務局に協力してくださっている沢山の有志の支えもあって、まずは、無事離陸することができました。

また、なによりも50団体を超える団体さん、沢山の個人の皆さまにご賛同・ご参加をいただけたことが、事務局スタッフの励みになっています。

国会の様子を見ていても、国際情勢を見ていても、今後私たちの生活を取り巻く状況がどうなるのか見通しが立ちにくいところがありますが、本キャンペーンとしては、地に足を付けて進んでいきたいと思います。

今後とも、是非ご一緒ください。それでは、メルマガ第8号をお楽しみください。

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[2.今月のヘッドライン]

2008-3-24: 3連房の登り窯で陶芸作品焼く
http://sinktank.kdn.jp/hl.cgi?330
2008-3-24: 本格薪釜ピッツアのお店オープン@東京・中目黒
http://sinktank.kdn.jp/hl.cgi?329
2008-3-17: 持ち運びできる石窯!
http://sinktank.kdn.jp/hl.cgi?328
2008-3-17: 間伐材ボイラー開発 実用化めど 愛媛大学
http://sinktank.kdn.jp/hl.cgi?327
2008-3-9: 調湿炭「炭八」の販売
http://sinktank.kdn.jp/hl.cgi?326
2008-2-29: 岩手県産木炭の消費拡大に向けて
http://sinktank.kdn.jp/hl.cgi?324
2008-2-27: 空港建設で伐採の木や竹を有効活用
http://sinktank.kdn.jp/hl.cgi?323
2008-2-21: スーダンで森が薪に消える
http://sinktank.kdn.jp/hl.cgi?322
2008-2-21: エコな暖かさ 薪ストーブ熱い人気
http://sinktank.kdn.jp/hl.cgi?321
2008-2-20: バイオマス温風器を発表します。
http://sinktank.kdn.jp/hl.cgi?320
2008-2-18: 池田炭の出荷ピーク 茶道用に年間20トン
http://sinktank.kdn.jp/hl.cgi?319

キャンペーンHPのトップに『バイオマス情報ヘッドライン』を設置しました。 
http://www.sumimaki.org/top.shtm
 このシステムは、全国各地(海外も含め)の、薪炭等のバイオマスに関連する旬のニュース、面白いニュース、豆知識などを、自由に投稿してもらい、紹介しあうものです。どなたでも自由に投稿して頂けますので、奮って投稿ください。
投稿は右のページから!  http://sinktank.kdn.jp/hl.cgi

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[3.キャンペーン事務局からのお知らせ]

◆キャンペーンにご参加ください!
2008年3月末現在、キャンペーン賛同団体は50団体を超えました!順調に団体数が増えています。

日本の森林を育てる薪炭利用キャンペーンでは、参加者・参加団体を募集しています。
http://www.sumimaki.org/01/san.htm
火のある暮らしネットワークの個人編の申し込みフォーム、検索画面が完成いたしました。どうぞ、こちらもご覧下さい。
http://www.sumimaki.org/formmail/form.cgi?ctl=personal_select


◆「火のある暮らしのはじめ方」好評発売中!!
薪炭キャンペーンで製作に取り組んできた、 書籍『火のある暮らしのはじめ方』が出版されました。この本では、薪炭による「火のある暮らし」をさまざまな形で 実践されている方に、その魅力を語っていただきました。
また、薪炭等のバイオマスに関する基礎知識、火の扱い方、火の持つ様々な効果や歴史など沢山のノウハウ・情報を紹介します。この本が、皆さんの「火のある暮らし」の第一歩となれば幸いです。

編集:日本の森林を育てる薪炭利用キャンペーン実行委員会
発行:社団法人農山漁村文化協会
仕様:B5判、96頁(カラー64頁)
定価:1,500円(税込み)

◆森林文化協会の本「森林環境2008」で、薪炭キャンペーンが紹介されています。
(財)森林文化協会が毎年刊行している年報「森林環境」シリーズの最新号は、「草と木のバイオマス」がテーマです。
 キャンペーン事務局団体である、NPO法バイオマス産業社会ネットワークの泊みゆきさんが「持続可能な日本社会とバイオマス政策」といタイトルで政策のレビューを、本メルマガの編集員である相川が「炎の文化再生−21世紀の火のある暮らしへ」というタイトルでキャンペーンの紹介をしています。ご関心のある方はぜひご覧下さい。

編集=森林環境研究会
責任編集者=有馬孝礼+辻陽
発行=(財)森林文化協会
発売=朝日新聞社
定価=2,100円(税込み)、協会会員は1,950円(送料込み)
http://www.shinrinbunka.com/

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[4.今月のイベント情報]

バイオマス産業社会ネットワーク第77回研究会

「オーストリアのバイオマス利用最新事情〜木質バイオマス&バイオ燃料を中心に(仮題)」
日 時:2008年4月23日(水)18:30〜20:30
講演者:ルイジ・フィノキアーロ(オーストリア大使館商務部商務官)
会 場:環境パートナーシップオフィス
    (東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山B2F)
     地下鉄表参道駅より徒歩5分・JR他渋谷駅より徒歩10分
     http://www.geic.or.jp/geic/intro/access.html#epo
参加費:BIN会員 無料、一般 1000円

※参加を希望される方は、下記よりお申し込みください。http://www.npobin.net/apply/
(画面右端の「詳細」ボタンをクリックしてください。)

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[5.キャンペーン賛同団体紹介]

File8. NPO法人信州そまびとクラブ

 信州そまびとクラブは森林組合の現場で働いていた者が集まり5年前にできた林業系NPOです。日頃は森林整備事業体として森林整備をおこない、現場で感じた生の情報を市民に伝えていきたいと頑張っています。
 最近は森林ボランティアの方も都会を中心に増えて来ていますが、木を伐る事は本当に危険で難しいものです。荒れた森林を放って置けずに熱い気持ちで森林ボランティアに参加される方が多いのですが、熱い人ほど冷静に作業をしないと自分のすぐ側に危険が潜んでいます。薪炭関係者となると伐る木は広葉樹が中心になるかと思いますが、針葉樹に比べ広葉樹の伐採は危険が倍増します。
 もし、木の伐り方がわからないとか、作業に不安を感じる事があるような団体等ありましたら、過去にもY市の森林ボランティア団体対象の安全作業講習会をさせてもらっていますので、及ばずながら何かしらのお手伝いができるかと思います。

URL http://www3.karuizawa.ne.jp/~somabito/
Mail somabito@karuizawa.ne.jp
Tel/Fax 0267-63-9610

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[6.薪炭クッキング]

File8. 燻し銀尚炭の春の燻製

 謎のクレイジー尚炭(なおずみ)先生に教わった、美味しさと驚きに満ちた薪炭料理のとりことなったOLの真炭(ますみ)さんは、春の訪れに胸を弾ませながら、今日も、薪炭クッキング教室の扉を開けるのであった。(このコーナーは、真炭さんと尚炭先生の会話形式でお送りします)

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   ホー、ホケキョ
(真)わぁ、きれいな梅ですね。
(尚)いいにおいじゃろ。派手な桜と違って、梅はこの香りが命じゃな。昔は梅こそが春の主役だったんじゃ。
(真)けど、桜餅もいい香りですよ。
(尚)ふむ、確かに。それに桜の香りといえば、燻製じゃな。木を熱して煙をつ   くり、食材をいぶして風味をつけるんじゃ。
(真)燻製はおつまみに最高ですよね。
(尚)(またか…)いや、味も良いんじゃが、もともとは食材を保存しておくための生活の知恵だったんじゃよ。煙には殺菌・防腐成分があるし、食材の水分が減って、下処理に塩漬けするから腐りにくくなるんじゃ。昔の人は頭がええのう。
(真)うーん、でも燻製といえば、おつまみしかイメージがわかないな。
(尚)日本でメジャーなところはかつお節じゃ。世界中で親しまれている技法ぞ。日持ちもすれば、味も上がる。
(真)燻されて長持ちするのか…、先生も今までずいぶん燻されてきたのでは?
(尚) そうじゃ、噛みしめれば一つ上をいく味のある人生じゃ!

★今月の薪炭クッキングレシピ★
## 燻し銀尚炭の春の燻製 ##

■材料:
   桜のチップ(二つかみ程度)
   【調味液】
   白ワイン(なかったら日本酒) 50cc
   水 50cc
   塩  小さじ1
   砂糖 小さじ1
   こしょう 適当
   【食材】
   タコの足 2足

■作り方:
▽ 調味液をすべて鍋に入れ、軽く沸騰させ冷やす。
▽ タコをそぎ切りにして、冷えた調味液に3時間漬ける。
▽ キッチンペーパーでタコの水気をふき取り、網に乗せて冷蔵庫に半日置き、水分を飛ばす。
▽ フライパンにアルミホイルを敷いてチップをいれ、その上にタコをのせた網を置く(できれば網はチップにくっつかない高さになるものがよい)。
▽ アルミホイルで煙が逃げないように全体を包む。
▽ 最初は強火で煙がでてきたら弱火にし、10分ほど燻してできあがり。そのままでも、味がなじんからでもおいしい。

*菜の花やアスパラガスを塩湯でしたものや、簡単なところでは、かまぼこ、ゆで卵、チーズをそのまま燻製にしてもおいしい。
*煙の調整が難しいときは、大きめの段ボール箱をかぶせるとよい。
 

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[7.コラム「炭わが人生」]

File8.インドのバイオマス燃料

 バイオマス燃料と言えば今はトウモロコシの国際価格を底上げしているバイオエタノールがすぐ頭に浮かぶことだろう。この間、大学生に質問したら「バイオマスってバイオの技術でマスの養殖をすること?」というツワモノもいたが、このメルマガ読者には「石油・石炭も本来はバイオマスだ!」という原理主義者はいても、大方は「更新性の生物性資源」という認識で一致しているものと思う。
我らが薪炭もこのバイオマスの一角を担うものだが、昨今は薪炭をそのまま使わずにガス化したり液化したりして最先端っぽくするのが流行りのようだ。しかし、採算が合うかどうか尋ねると「そんな失礼なことを聞くものじゃない」とたしなめられることもある。世の中は不思議だ。
 そんな不思議に悩んでいた時、サトウキビの茎葉などの廃物を誰でも簡単に炭にできるシステムを開発したインド人の民間研究者に出くわした。ずっと炭に携わってきた私が心底驚いたのは、この炭化装置が技術を全く必要とせず、ちょっとした体力さえあれば誰でも同じような炭がやけるということだった。しかもコンピューターとか電気なんて全く使わない、鉄板だけの極めてシンプルな装置なのである。
とかく日本の炭やき関係者はできるだけ煙を出さずにゆっくりやけとか、煙がちゃんと分かるまでに3年とか、引きのコツ(煙道口にかぶせた板の開け閉め)が分かればもう一人前とか、高い技術を習得するのが炭をやく目標のようなことを言う人が多いが(うちの大将・炭やき銀爺を筆頭として)、このインドの炭化システムは個人の技術におもねるところが全くない。
誰でもやけ、しかも他の仕事よりも儲かるからどんどん普及する。サトウキビの茎葉は地域によってはそのまま燃料や牛の餌として使われているが、UTTAR PRADESH州などの大生産地ではほとんどその場で償却処分されており、インド全体で一年に焼却される量は3000万トン以上になる。これをその場で簡単に炭化し、廃でんぷんを使って成型し、都市の家庭燃料にするのが彼らのシステムである。写真と詳細→ http://www.arti-india.org/content/view/42/40/ 
 上のレポートにもあるが彼らはこの成型炭に適した家庭用調理器までセットで開発していて、この調理器を買った人はこの成型炭の確実なリピート顧客になってくれるというから何ともインド人らしい念の入った商売である。この研究所は2009年末までに160万家庭にこの調理器を普及する計画だ。実はこの事業は家庭での調理の際、牛糞や薪を燃やす時に出てくる健康に悪いガスから母子を守り、かつ燃料コストも下げることを目的として進められているものだが、これだけの世帯がこれまで無駄に焼却されていたバイオマスを調理に使うことでかなりの程度、温暖化防止にも貢献できるものと思われる。
 日本を含め先進国は地球温暖化防止というと、まず先端科学技術をもって対処しようとする。もちろん省エネを含め最先端の技術的対応も大事だが、どこかの優秀な科学者が発明するはずの新しい技術が私たちを救ってくれるとただ待つよりも、彼らのように未利用のバイオマスをいかに有効に利用するかがまず大事だと思った次第である。
 そしてこれは薪炭キャンペーンの精神でもある。日本の場合はまず、老化していく森林資源を新しい利用サイクルに乗せていくことだろう。最先端ばかり見つめて足元を固めない「愚」は避けたいが、身近な森林資源を生活の中で普通に使う「愚直さ」は大事にしたいものである。

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*編集後記*
 広若さんのコラムは毎回深い内容で、いつも楽しみです。地球温暖化防止のために中国やインドなどの途上国を巻き込んでいくことが必要です。そのために技術移転がインセンティブになるということで、日本では経済界を中心に熱い視線が注がれているようです。
 技術移転の金銭的代償は当然用意されるので、それが「ものづくり大国ニッポンの国益になる」という論旨ですが、本当に「国民全体の利益=国益」になるのか疑問です。紹介されていたインドの炭焼き技術のように、現地に根ざした技術で、本当に温暖化が抑止されるのであれば、そちらを国民は望むと思いますが、いかがでしょうか。
 地球温暖化の問題で、私たち市民が望む方向に社会システムを再構築できるかは、民主主義が機能しているかの試金石になると思います。

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発行:日本の森林を育てる薪炭利用キャンペーン実行委員会事務局
〒198-0036
東京都青梅市河辺町5-10-1 セントラルビル2F
(株)森のエネルギー研究所内 薪炭キャンペーン

e-mail:info@sumimaki.org
tel:0428-28-0010
fax:0428-28-0037
http://www.sumimaki.org/
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