日本再発見ノート Rediscover Japan. 

株式会社さとゆめ・嶋田俊平の日々の思い、出会い、発見

[資料メモ]Renewable Energy on Small Island

昨日の日記で、大きく変化する時代の中で、島の社会や環境の機能を維持するのは難しい等々と書いたが、この時代だからこその「島の重要性」というものがある。

グローバル化や地球温暖化が進展する今だからこその重要性。

“Renewable Energy on Small Island”というレポートに簡潔に記されているので、紹介したい。

出典:
英語版
404 Not Found
日本語版
「島嶼地域におけるエネルギー需給に関する基礎調査」-世界の島々のとりくみ-

・地球的尺度でいうと、大きさ、人口、エネルギー消費量、温暖化ガスの排出などを考えるとき、島嶼地域は比較的小さな存在である。しかしではなぜ、再生可能エネルギーの世界的推進となると島が重要なのか。なぜとりたてて島が、再生可能エネルギー技術の地球的先駆者でありそのショーケースとなりえ、持続可能エネルギーによる将来への道を指し示すことができるのか。これにはいくつかの相互に関連する答えがある。

高い可視性
・島は水域に囲まれた陸地である。すなわちそれは、地理的見地からのみならず、エネルギー生産、人口、経済などなどに関しても明確に閉じた単位であることを意味する。島は、再生可能エネルギーの技術、組織、および財政のあり方を、目に見えるかたちで実験できる。REI*1は未来のエネルギーシステムを可視的かつ具体的にするために有用な方法を見出す。

統合化、組織化された形態での再生可能エネルギー実証の必要性
・世界の意思決定者が、持続可能な発展の一環として再生可能エネルギーを広く利用していくことを促進していく場合、REI のような目的の明確な地域において、大規模で、統合的、組織的な形態で再生可能エネルギー利用を実証していくことが必要である。

島嶼地域で再生可能エネルギー大規模利用の可能性
・大陸や本土での大規模再生可能エネルギーへの劇的なシフトは、技術、財政、および組織の点で短・中期的には非現実的である。しかしながら、小さな共同体がそのエネルギー供給量全体を再生可能エネルギーに基礎をおく可能性が実証されれば、高い関心を呼ぶであろう。
・島は、はるかに大きな本土に比べて、安く、早く、容易に、エネルギーバランスに占める再生可能エネルギーの割合を高めることができる。島という限られた空間が、しばしば短所と見なされるが、このような意味においては実際には長所となっている。

再生可能エネルギーに対する積極的な姿勢
・多くの島は、再生可能エネルギー利用に対して政治的にも積極的な姿勢を持っている。ひとつの理由は地球温暖化の脅威である。島は、温暖化ガスの地球的排出源としては無視し得る存在であるにもかかわらず、世界中の多くの島が、工業国の化石燃料消費に起因する気候変化と不安定性の直接の被害者になる可能性がある。それゆえ島はエネルギー需要を満たす新しい持続可能な方法を実証することによって、エネルギーパターンを変えることに強い関心を抱いている。
・島に見られる積極的姿勢のもうひとつの理由は、そこには化石燃料資源がほとんど存在しないことである。工業国でも開発途上国でも、多くの大陸にある国では、政治的、経済的エリートの存在が再生可能エネルギー源推進の主要な障壁になっており、彼らは、輸出向けであれ自国向けであれ、自国の化石燃料資源の利用に非常に大きな権益を持っている。ほとんどの島の主要資源は、観光用の海洋資源、旅客、地理景観であり、化石燃料資源はなきに等しい。

競争力上の利点
・今日世界中の大部分の小島嶼地域は、特に運輸と電力発電量のエネルギー需要を輸入化石燃料に依存している。多くの島は小さく孤立しているため、エネルギーのようなインフラのコストは、本土におけるものの3 から4 倍にもなる。化石燃料の高価格は需要の限界とあいまって、従来型電力発電の発電コストを押し上げる。これが島における再生可能エネルギー技術の競争力を生む。さらに、大部分の島は、おもに太陽や風といった、優れた再生可能資源に恵まれている。

島嶼地域以外にも応用できる経験
・島で得られた経験は、島ばかりでなく原則としてあらゆる場所で利用できる。再生可能エネルギーは、先進国のみならず、開発途上国の本土にあるコミュニティのための実験プロジェクトとしての役割を果たす。開発途上国の国内電力系統の範囲外に住む人々は約25 億人いる。これらの人々も電力サービスを必要としており、REI の経験はこの関係で非常に重要となる。

努力を積み重ねることにより、いくつかの小島嶼国が実験的国家の役目を果たすことができる。小さいながらも小島嶼国は世界の国々に範を示すことができる。

なお、ここで引用したのは机上に留まっている論理ではない。
既に北欧諸国を中心に、国家戦略として「島嶼地域における再生可能エネルギーの先駆的導入」が進められており、デンマークのサムソ島など、再生可能エネルギーによるエネルギーの100%自給を実現してしまったところも現れている。

そして、島から始まった再生可能エネルギー導入のうねりが、エネルギー関連法の改定につながるなど、欧州全体へと広がりつつある。

島からはじめる、という手もあるのだ。

*1:Renewable Energy Island